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カラマーゾフの兄弟(中)

抜粋

p57 ヨブの信仰
 サタンは彼の子供たちや、家畜を打ち殺し、さも神の嵐が荒れたかのように、彼の全財産をふいに四散させてしまった。するとヨブは上着を引き裂き、地にひれ伏して、叫んだ。「わたしは裸で母の胎を出た。また裸で大地に帰ろう。主が与え、主が取られたのだ。主の御名はとこしえに讃むべきかな!」

 『人はだれでも自分の罪業のほかに、あらゆる人あらゆる物に対して罪がある』という考えがよく出てくる。この罪論の真偽はともかく、そういう思いを持って生きるとどれ程丁寧だろうと思った。

p79 年輩の紳士が若き日のゾシマ老師に  孤立の時代
 「現在、それも特に今世紀になって、いたるところに君臨している孤立ですよ。でも、その時代は終わっていませんし、終わるべき時期も来ていません。なぜなら今はあらゆる人間が自分の個性をもっとも際立たせようと志し、自分自身のうちに人生の充実を味わおうと望んでいるからです。ところが実際には、そうしたいっさいの努力から生ずるのは、人生の充実の代りに、完全な自殺にすぎません。それというのも、自己の存在規定を完全なものにする代りに、完全な孤立におちこんでしまうからなのです。なぜなら、現代においては何もかもがここの単位に紛れてしまい、あらゆる人が自分の穴蔵に閉じこもり、他の人から遠ざかって隠れ、自分の持っているものを隠そうとする、そして最後には自分から人々に背を向け、自分から人々を突き放すようになるからです。(中略)自分一人を頼ることに慣れて、一個の単位として全体から遊離し、人の助けも人間も人類も信じないようになりはせぬかと、ただそればかり恐れおののく始末ですからね。個人の特質の真の保証は、孤立した各個人の努力にではなく、人類の全体的統一の内にあるのだということを、いまやいたるところで人間の知性はせせら笑って、理解すまいとしています。しかし今に必ず、この恐ろしい孤立にも終りがきて、人間が一人ひとりばらばらになっているのがいかに不自然であるかを、だれもがいっせいに理解するようになりますよ。―」

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